せっかく外観を整えたのですから、その内容もきちんと箇条書きに則したものにしたいですね。
今回は、Wordの機能からは離れますが、箇条書きのライティングのポイントを紹介します。
箇条書き テクニカルライティング
箇条書きのポイントは、全体では「一つの意味のあるまとまり」であること、構成する各項目は「並列」であること、です。
次の例で考えてみましょう。
どうでしょうか。一読して意味はわかるし問題ないように見えるかもしれません。
先に改善例を示してから、解説しようと思います。
まず、前置き情報として「すべてを満たす」を補っています。元の文では、一つでも適合すればよいのかすべて適合する必要があるのかがわかりません。書き手はすでに理解しているので、このようなちょっとした・しかしとても重要な言葉が抜け落ちがちです。また、前置きがあることで、該当・非該当が一つ判明した時点で以降の項目は確認しなくても済むようにもなります。3項目程度では大差ありませんが、項目数が多い場合に効果的です。
次に問題なのが3番です。「使用する条件」といっておいて「使用できない」を挙げるのはまとまりの意味から外れてしまっています。ルール違反です。
2番の「さらに」はNGです。前項目を引き継ぐような書き方は並列ではなくなります。「または」や「ただし」も同様です。前後の項目を読まなくても単独で意味が成り立つことが前提なので、「同様に」などもNGです。
1番と2番は「済み」と「完了」は同じ意味なので、表現を統一しています。また、全体に「××の〇〇が△△であること」といいまわしを統一しています。統一すると、読み手が情報を受け取りやすくなるからです。
最後に、箇条書きはすべて体言止めにすべし、というお作法もあるのでそれに従っています。ただ、かえっておかしな文章になりかねない場合もあるので、これはあまりこだわらなくてよいと思います。
箇条書き… 記号か数字か
箇条書きは並列であり、順番や重要度などの序列のない列挙なので、行頭には記号を使うのが原則です。しかし、原則はあくまで原則であって、数字やアルファベットにしておくと都合がよい例もあります。その一つが打ち合わせ資料です。
記号文字による列挙は、項目数が多くなると会話のなかでの特定がしにくくなります。「この8番目と14番目の件だけど…」のように話題が振られるたびに、出席者がそろってリストを数えだすといった展開になったりします。箇条書きに翻弄されてしまい、「上から5番目の~」とか「下から4番目は~」とかの言葉が飛び交うようでは、議題に集中できませんよね。
逆に、できる限り記号を使うほうがよいものもあります。社員の氏名や取引先企業名などの固有名詞の列挙です。これらに数字が付いていると、「これは何の順番だ?」と要らぬ疑問を招いたりするのです。こうした情報の場合は、並列を前提としていても、並び順には少し気を配っておくのが賢明といえます。